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保育士不足の深刻化。保育業界に対する国の対策は?保育士目線で解説!

 

社会問題として深刻化する保育士不足の要因とは?保育業界に対する国の対策とは?保育士目線で解説します!

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 社会問題に発展している待機児童問題。一番の原因は保育士不足!

現在待機児童問題は、深刻な社会問題の一つとなっています。

 

「保育園落ちた日本しね」のワードは2016年のユーキャン流行語対象を受賞するほど世間的にも話題になりました。

 

待機児童問題の一番の原因は「保育士不足」だと言われています。

 

保育園では、子どもに対して決められた数の保育士が必要なので、保育士が不足すると園児の受け入れが難しくなってしまいます。

 

とはいえ保育士問題には様々な要因が複雑に絡み合っているので、何が本質的な要因なのか・どういう対策をすれば問題が解決するのか、イマイチピンとこないですよね。

今回は保育士不足の要因保育業界に対する国の対策について保育士目線で解説していきます。

保育士の有効求人倍率は年々増加!

保育士不足が叫ばれていますが、そもそも保育士はどれくらい不足しているのでしょうか。

 

下のグラフは全国平均で、保育士の就職状況を表しています。

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(引用:保育士等に関する関係資料-厚生労働省)

 

国的に見ても保育士の有効求人倍率は上昇傾向にあり、保育士不足は次第に深刻化していることが読み取れます。

保育士の数は実は年々増えている!それでも、待機児童が減らない理由とは?

実は下のグラフからも読み取れるように、現在保育士の数は年々増えています。

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(引用:保育士等に関する関係資料-厚生労働省)

 

それではなぜ保育士の数は増えているのに、保育士不足は解消されず、待機児童問題は深刻化しているのでしょうか。

 

その原因は、共働き夫婦の増加にあります。

 

女性の社会進出が活発になり、子どもを保育園に預けながら働きたい女性が増えたことで原因で、保育園側の受け入れが困難になっています。

 

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(引用:共働き等世帯数の推移-内閣府男女共同参画局

 

保育士を悩ませる過酷な労働環境の実態!保育士が増えない5つの要因とは?

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現在、保育士の人材不足はとても深刻です。

厚生労働省によると、東京都の2017年10月の保育士の有効求人倍率約6倍となっており、1人の保育士に6件の求人がある状態です。

また、厚生労働省がまとめた毎月勤労統計調査によると、保育業界では保育未経験の就業者が増えています

 

保育士不足を解消するために、国は2017年度から保育士の経験年数に応じて月最大4万円を給与に加算していますが、それでも経験豊富な有資格者はすでに働いていることが多く、新たな採用が難しいため、未経験者を雇う保育園が増えている傾向にあります。

 

保育士の採用が困難な中、全国で保育士資格を持って働いているのはたった3人に1人です。

少ないですよね?保育士が増えない原因は保育士の過酷な労働環境にあると言われています。

例えば、以下のものが原因に挙げられます。

 

・給与水準の低さと待遇の悪さ 

・保護者との仲たがい

・同僚・上司との人間関係のストレス

長時間労働、過酷な勤務体制

・子供の命を預かることの責任の重さ

 

保育士不足に歯止めをかけるために、国も対策を講じてはいますが、それによって保育士の働く環境がどのように改善され、保育士にどんなメリットがあるのかって分かりづらいですよね。

 

ここからは保育士不足に対する国の対策について、保育士目線でご紹介します。

保育士としてキャリアアップがしやすくなる?保育士の給与改善のための、新役職が設立!

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そんな労働環境の改善のため、2017年から保育園に保育士の新ポジションが設立されました。

それまでは、保育園の役職といえば、原則園長と主任保育士だけで、キャリアアップが難しく、給与が上がりづらいという課題がありました。

長年保育の仕事に携わっていても、技能や経験が給与に反映されないことは、中堅の保育士の離職の原因になっています。

そこで政府は、一般保育士から主任保育士までの間に新しいポジションを設け、研修を受けて段階的にキャリアアップしていく仕組みを設けました。

新設されたポジションは、以下の3つです。

若手リーダーとして働く職務分野別リーダー

キャリアアップの最初のステップとして、3年以上の経験がある保育士を対象に、専門分野のリーダー職が設けられました。専門分野は、以下から選びます。

1)乳児保育

2)幼児教育

3)障害児保育

4)食育・アレルギー反応

5)保健衛生・安全対策

6)保護者支援・子育て支援

 

職務分野別リーダーになるためには自治体が実施する研修を受けて、発令を受けることが必要です。職務分野別リーダーになると、月額5,000円の手当が受け取れます。

管理職的な副主任保育士

7年以上の経験があり、職務分野別リーダーを経験したことがある保育士は、所定の研修を受けて、副主任保育士にキャリアアップすることができます。

 

研修の分野は、先程の6つに加えて2つの分野が用意されています。

7)保育実践

8)マネジメント

 

副主任保育士になるには、マネジメントと3つ以上の研修分野を修了することが必要です。

主に管理職業務を担当し、月額4万円が支給されます。

専門性の高い専門リーダー

専門リーダーは専門性の高いリーダーとして職場の保育士を支える仕事を行います。

専門リーダーは、4つ以上の研修分野を修了し、専門リーダーとして発令されることが条件です。

こちらも、月額4万円の役職手当が支給されます。

保育士の給与改善につながる?国が保育所を設置しやすくするための補助金を検討!

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平成30年7月現在、政府は地域限定で規制を緩める国家戦略特区で、保育士が少なくても保育所を新設できる特例を設けることを検討しています。

この特例は、保育所の職員のうち保育士が6割以上いれば、認可保育所同様の運営費の補助を受け取ることを認める内容になっています。

まだ検討段階ですが、これが導入されれば通常よりも保育所の利回りがよくなり、保育士の給与改善につながる可能性があります。

保育士にはどんな影響があるの?今話題の幼児教育・保育の無償化の内容とそれに対する世論

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幼児教育・保育の無償化は当初の計画から半年前倒し、2019年10月から全面的に実施されます。

幼児教育・保育の無償化とは?

認可保育所や幼稚園に通う3-5歳児や住民税非課税世帯の0-2歳児の保育料が原則無料になる制度です。

ベビーホテルやベビーシッターなどの認可外施設も、市区町村に「保育が必要」の認定を受けた世帯を対象に月額3.7万円を上限に補助されます。

 

ただ、これに賛否両論の声が挙がっています。

賛成派の意見としては、子育て世代のお金の負担が軽くなるという声です。

 

一方反対派では、年収や家庭環境などに関係なく3-5歳が対象に無償化されるので高所得層が得をするという声や、増税した税収で国の借金を返さないと結局借金問題が先送りになるなどの意見もあります。

保育士さんへの影響は?

幼児教育・保育の無償化は保護者向けの政策ですが、保育士にどんな影響があるのか気になりますよね。

調べてみたところ、幼児教育無償化後も、すでに実施されている保育士の支援制度は継続されるとのことです。

 

具体的には以下の通りです。

 

・保育士に対する住宅補助制度

・子育て期保育士児童の優先入園

・給与等の処遇改善・各種手当て

 

自治体が実施するこれらの支援制度はそのまま享受できます。

なので、ひとまず一安心ですね。

まとめ

今回は深刻化する保育士不足に対する国の対策についてまとめてみました。

現在保育士の数は増えてきていますが、共働き世帯も増え、子どもを保育園に預けたい需要の方が増え、保育士不足は深刻な社会問題となっています。

国は以前は園長と主任だけだった保育士のキャリアポジションから、新しい役職を設立することでキャリアアップを図れるようにし、給与の面において改善を試みています。

また、保護者の負担軽減のための幼児教育無償化は、一見保護者向けの制度で批判もありますが、保育士の支援制度も継続して実施されるため、待遇など雇用の改善が期待できる内容です。

現状まだまだ保育業界は、給与などの待遇や働きやすさの面でまだまだ課題が残っています。

保育士がより働きやすい保育の現場になるよう、国には今後も積極的に課題解決に取り組んでもらうことを願います。