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企業主導型保育所、国や自治体の助成強化の一方で都市部の浸透遅れや保育士不足に課題

 政府が待機児童対策の柱に据える企業主導型保育所の設置を促進するため、政府だけでなく自治体も助成を強化しています。企業主導型保育所の設置は増えており、1年で2万人分の児童の定員を生み出しています。しかしながら、特に待機児童数が多い都市部での設置が遅れており、未だに待機児童数は減っていません。また、保育業界全体が保育士不足に頭を悩ませているため、企業主導型保育所も保育士が集まらないという課題もあります。

企業主導型保育所に対して、国だけでなく自治体も助成強化の動き

保育 企業①

 企業主導型保育所は認可外保育所の一つで、企業が本社や工場などに設けていた事業所内保育所の一形態です。事業所内保育所は主に働いている従業員の福利厚生のために設けていましたが、企業主導型保育所は定員の半数まで社員の子ども以外も受け入れることができます。政府や自治体は待機児童の対策のため、企業主導型保育所に対して助成を強化し保育所の定員数の増加を目指しています。事業所内保育所であれば、新設にかかる整備費の3分の2まで国が負担します。そこで政府は2016年度に企業主導型保育所に対して、認可保育所並みに補助する制度を設け整備費の4分の3、運営費の95%まで政府が負担するようになりました。また待機児童問題の深刻な地域のなかには、自治体が政府の助成に上乗せして企業主導型保育所の支援を行っています。兵庫県明石市では待機児童が兵庫県内で最多の547人であり、その対策として企業主導型保育所を増やし定員を確保しようとしています。地域の子どもを預かった場合、1人当たり最大20万円を園に助成しており、これは全国の市町村のなかで、初めての試みです。政府や自治体は企業主導型保育所の浸透によって、実際の数字には表れてこない「隠れ待機児童」や保育所に入るのを諦めていた子どもが通えるようになる可能性も高いと考えており、より一層助成に力を入れています。

待機児童が特に多い都市部で、企業主導型保育所の浸透遅れ

保育 企業②

 内閣府の資料によると企業主導型保育所の設置で決まった約2万人分の定員のうち、待機児童が集中する地域にあるのは4割で、逆に3分の1近くが待機児童ゼロの自治体にありました。企業主導型保育所が、待機児童が集中している地域に設置されない理由は、都市部の高い賃貸料にあります。東京都23区など賃貸料の高い地域は園を開設するのにコストがかかり、国や自治体の助成だけでは運営が困難です。賃貸料の他に、人件費も都市部と地方ではかなりの差があります。青森県の平均月給が19万円であるのに対し東京都は月給24万円です。東京都と青森県の間で、5万円もの差があります。政府から受ける助成金は全国一律であり、地域によって金額に傾斜をかけているわけではないので、費用に対する助成金の占める割合は低くなってしまいます。それに加えて東京都などの都市部では独自に企業主導型保育所の運営費を割く自治体はなく、運営側の自己負担が他の地域よりも大きくなっています。

 また企業主導型保育所は定員の半数を従業員の子供で満たすというルールがあり、このルールも都市部での設置の障壁になっています。都市部では通勤時に満員電車に乗らなければならない人も多く、その中で子どもの送り迎えをするのは難しいことです。そのため、企業側に子どもを預ける従業員が見込めず、設置に至らないこともあります。待機児童問題が最も深刻である都市部に設置しにくいという現状は、待機児童対策の柱として影響力に欠けることは否めません。

企業主導型保育所では認可保育所以上に保育士不足が問題に

保育 企業③

 政府や自治体の助成強化により新設が進む企業主導型保育所ですが、保育士の確保が大きな課題になっています。保育士不足は保育業界全体の課題でもありますが、その中でも企業主導型保育所では保育士が集まりません。なぜなら企業主導型保育所では、認可保育所に比べ保育士の給与が低いからです。政府や自治体の助成は保育所を開設する企業や事業所を対象としています。助成が強化されたことで以前よりも開設や運営にかかるコストを抑えることができていますが、費用が軽減された分、園で働く保育士の給料が向上されるとは限りません。それに加え、企業主導型保育所で働く保育士は、自治体が独自に設けている保育士向け手当を受け取ることができません。各自治体の保育士向けの手当は原則認可保育所に勤めている保育士が対象になっており、企業主導型保育所に勤めている保育士は対象から外れてしまいます。実際に東京都千代田区では、同区内の保育士向けに1人当たり月3万円の手当を支給しますが、対象は原則として認可保育所で働く保育士で企業主導型保育所で働く保育士は含まれません。ただでさえ保育業界は「仕事はきつい割に給与が安い」というイメージが強いなか保育士手当も受けることができないので、企業主導型保育所には保育士が集まりにくい現状があります。

「企業主導型保育所」に関するまとめ

 保育所不足で待機児童が増加するなか、企業主導型保育所の新規開設が急ピッチで進んでいます。国や自治体の事業所への助成が強化されたことで、その動きはさらに加速しています。企業主導型保育所の設置が増えている一方で、待機児童が多いはずの都市部では開設の際にかかる賃貸料や人件費が高額であるため浸透が遅れています。また企業主導型保育所で働く保育士は、自治体の独自の保育士手当を受けることができないケースが多く、認可保育所に比べ保育士の収入が低く抑えられかねません。そのため企業主導型保育所の一段の普及のためには、保育士不足という問題の解決が欠かせません。