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保育士と幼稚園教諭の違いって?似てるようで違う仕事内容や待遇を比較

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 保育士と幼稚園教諭は似ている仕事のように思われがちですが、仕事内容や待遇面で様々な違いがあります。保育園と幼稚園では子どもを預かる目的も異なっており保育士は保護者のために生活の援助を行い、幼稚園教諭は生活する上での知識を教えています。他にも勤務時間や給与、働ける施設形態など保育士と幼稚園教諭には違いがあります。いままでは保育士資格と幼稚園教諭免許のどちらかだけを取得する人が多かったですが、こども園をはじめとした幼保一元化の考えが浸透しはじめているので最近では両方の資格を取得する人が増えています。

保育士と幼稚園教諭の仕事は預かる子どもの年齢や目的が異なる

保育士 幼稚園教諭 違い①

 保育士と幼稚園教諭はどちらも子どもに関わる仕事ではありますが、保育園は厚生労働省の管轄であり、幼稚園は文部科学省の管轄です。管轄が違うことで保育士や幼稚園教諭が子どもを預かる目的も異なります。保育園は子どもを日中に保育できない保護者が子どもを預けるところであり、保育士は保護者の代わりに日常生活の援助や保育をしています。幼稚園は幼児を保育し心身の発達を助長するところであり、幼稚園教諭は生活する上での知識や教育を教えることを目的に子どもを預かります。保育園は0から6歳までの子どもを預かることができますが、幼稚園では教育を目的としているので3から6歳が対象になっています。具体的な仕事内容も保育士と幼稚園教諭では異なります。保育士は子どもに健全に育ってもらうように生活面に力を入れています。そのため学業というよりも集団行動を大切にしており、歌やピアノ、運動などを中心に対応していきます。幼稚園教諭の場合は教育を中心に行っていきますので、遊びの時間は保育園よりも少なく、勉強をする時間が長いことが特徴です。

保育士と幼稚園教諭は保育時間や残業、お休みなど勤務条件に違いがある

保育士 幼稚園教諭 違い②

 保育士と幼稚園教諭では勤務条件にも違いが見られます。保育士は保護者のために生活の援助を行います。そのため預かり時間も長く標準保育時間は11時間です。なかには7時から子どもを預かり、19時頃まで延長保育をしているところもあります。勤務時間は早出、日勤、遅出などのシフト制になっており、園によっては残業も多くあります。幼稚園教諭の場合は教育を目的としているので、標準保育時間は4時間です。時間外保育がないので定時に終わることが多く、保育士と比べると残業も少ないです。また幼稚園教諭には夏休みなど長期休暇がありますが、保育士は基本的にはありません。そのため幼稚園教論の方が年間の休日は多くなっています。

幼稚園教諭より保育士のほうが働ける施設形態は多い

保育士 幼稚園教諭 違い④

 保育士は幼稚園教諭に比べ預かる子どもの年齢も0歳から6歳までと幅広くなっています。その分保育士資格で働くことができる勤務場所は幼稚園教諭資格よりもかなり多くなっています。保育士の資格が役立つ施設形態は以下のように14種類もあります。

保育園
保護者が労働や疾病などの理由で保育に欠ける児童(0歳~小学校入学前)を預かり保育することを目的とする施設。大きく分けて認可保育所と認可外保育所に分けられます。

児童厚生施設
いわゆる児童館や児童遊園。児童に健全な遊びを提供し、健康増進と豊かな情操を育てることを目的とする施設。

母子生活支援施設
生活と養育が困難な母子世帯を保護し、自立できるまでの生活を支援する施設。

乳児院
児童福祉法に基づいた施設。面倒を見る保護者のいない乳児~小学校入学前の児童を支援・援助するための施設。

助産施設
保健上必要であるにもかかわらず、経済的な理由などで入院できない妊産婦を入所させ、助産を行う施設。

児童養護施設
保護者のいない児童、虐待された児童、その他家庭の事情で養護を要する児童を保護し、自立のための支援を行う施設。家庭の事情には保護者の疾病・拘禁・経済的な理由などが挙げられます。

知的障害児施設
知的障害のある児童の保護と独立自活に必要な知識・知能を与えることを目的とした施設。

知的障害児通園施設
知的障害を持つ児童を自宅から通園させて将来独立して自活できるような知識と技能を習得させるための施設。

盲ろうあ児施設
盲児や強度の弱視児を入所させて保護し、自活支援をしていく施設。盲児施設・ろうあ児施設・難聴幼児通園施設の3つの施設があります。

肢体不自由児施設
上肢、下肢または体幹機能の障害児治療と、独立自活に必要な知識・知能を与えることを目的とした施設。

重症心身障害児施設
重度の知的障害と肢体不自由が重複する児童の保護と治療、日常生活の指導を目的とした施設。

情緒障害児短期治療施設
軽度の情緒障害を持つ児童を短期間入所・通所させ、治療と援助を行う施設。情緒障害とは、不登校・引きこもり・乱暴・夜尿・吃音・チック・拒食などを指します。情緒障害という用語は偏見や誤解を招きやすいとし、児童心理療育施設と呼ぶこともあります。

児童自立支援施設
不良行動をする児童やする恐れのある児童、家庭に問題のある児童を教育・指導するための施設。

児童家庭支援センター
地域の児童の福祉に関するさまざまな相談に応じ、必要な助言・指導を行う施設。

 こういった施設以外にもベビーシッターサービス、ベビーホテル、習いごと・塾などの講師、学童保育など保育士資格を活用する機会はたくさんあります。

保育士と幼稚園教諭の給与に違いはあるのか?

保育士 幼稚園教諭 違い③

 保育士と幼稚園教諭の給与にはどのような違いがあるのでしょうか。保育士の平均年収は約326.7万円です。保育士の年収は一般的な平均年収と比べても低くなっています。一方で幼稚園教諭の平均年収は約339.3万円であり、保育士よりも少しだけ高めになっています。しかし保育士も幼稚園教諭も、公立の園か私立の園かで給与の差が大きく開いています。一般的に公立の園の方が身分も公務員として安定していて、給料も私立の園より高いことが多いです。そのため公立の園には多くの保育士や幼稚園教諭が集まり、就職の倍率が10倍になることもあります。私立の園の給与は運営母体の経営状態によって変わるので、一概に給料が安いというわけではありません。特に幼稚園教諭の場合なかには富裕層の子どもが通う有名私立園もあるので、そういった園では給与が高い傾向があります。

保育士資格と幼稚園教諭免許を両方取得するメリット。特例制度の活用がお得

保育士 幼稚園教諭 違い⑤

 保育士資格と幼稚園教諭免許を活かせる職場はそれぞれ異なりますが、最近では両方の資格・免許を取得する保育士、幼稚園教諭の方もたくさんいます。保育士は幼稚園教諭の免許をもつことで子どもの保育以外に教育にも携わることができますし、幼稚園教諭は保育士資格を取得することでよりたくさんの施設形態で働くことができるようになります。最近では保育園と幼稚園の機能を併せ持った「こども園」の設立も増加しており、「こども園」では基本的に保育士資格と幼稚園教諭免許の両方が必要とされます。そのため保育士と幼稚園教諭の2つの資格を持っている人は就職や転職の際にこども園という選択を選ぶことができます。
 4年制の大学や短大、その他資格取得時に2つの資格をまとめて取っている人もいますが、保育士や幼稚園教諭として働きながら自分の持っていない資格の取得を目指す人もいます。働きながら資格取得を目指す人におすすめしたいのが「特例制度」です。政府はこども園への移行をスムーズにするために、幼稚園教諭免許と保育士資格のいずれかを持つ人を対象に資格取得の支援を行っています。保育士資格を持っている人は「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」、幼稚園教諭免許を持っている人には「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」が適用されます。具体的にはこれまでの保育士や幼稚園教諭としての勤務経験を加味して、資格取得時に必要な科目をいくつか免除してくれます。通常時よりも手間を省くことがで、短期で資格の取得ができるので、保育士資格や幼稚園教諭免許のいずれかを持っている人は積極的に活用しましょう。

進行する幼保一元化。保育士資格と幼稚園教諭免許は両方持っていた方が良い

保育士 幼稚園教諭 違い⑥

 ニュースなどで「幼保一元化」という言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。幼保一元化は簡単に言ってしまえば、家庭の代わりに子どもを保育していく保育園と教育を施す幼稚園とを一体化させていこうという試みです。少子化により多くの幼稚園では経営難であること、その一方で保育園では定員が足りていないことから幼保一元化という考えがなされるようになりました。保育園と幼稚園では所管や法令、目的、対象年齢などにおいて明確に区別されていますが、二つの施設を一元化することで教育水準の均等化や育児サービスの効率化を図っています。現在目にするようになった「認定こども園」も幼保一元化をもとに設立されました。幼保一元化によって幼稚園と保育園の定員の偏りをなくすことができるのはもちろんですが、他のメリットとして幼稚園と保育園2つの施設の長所を活かすことができることが挙げられます。幼稚園の立場から見ると延長保育が受けられるようになりますし、保育園からの観点では「保護者が就労していること」という入園条件が緩和されます。
 しかし幼稚園と保育園が一元化されることで、保育士や幼稚園教諭は今以上に適切な保育や教育を行わなくてはなりません。そのため働く職員には保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を取得する必要が出てくると考えられます。現状こども園が設置され始めたところで幼保一元化もはじまったばかりではありますが、保育ニーズの高まりから今後一層幼保一元化は進行していくはずです。今後安定して保育の仕事に携わり、適切な保育や教育を提供するためにも保育士や幼稚園教諭は今のうちに保育士資格と幼稚園教諭免許の二つを取得していることが望ましいでしょう。

「保育士と幼稚園教諭の違い」に関するまとめ

 保育士と幼稚園教諭はどちらも子どもに関わる仕事で似ているように思われがちですが、仕事内容や待遇面で様々な違いがあります。保育士は保護者のために生活の援助を行う一方で幼稚園教諭は生活する上での知識を教えており、両者では子どもを預かる目的が異なっています。他にも保育士の方が働ける施設形態が多かったり、幼稚園教諭の給与の方が少し高かったりと、保育士と幼稚園教諭では異なる特徴があります。基本的に保育士資格と幼稚園教諭免許はどちらかのみ取得している人が多かったのですが、最近はこども園設立など幼保一元化の動きが進んでいるので、両方の資格を取得する人が増えています。現在保育士や幼稚園で働いている人は特例制度を利用することで、通常よりも短期間で資格を取得できるので使ってみると良いでしょう。